ライターとしてフリーランスになるなら考えておきたいこと…。
それは確定申告!
ライターにとって確定申告は、税金を納めるためのものではありません。
むしろ取り戻すためのもの!
この記事では、そもそもライターが確定申告をする本当の目的をお伝えした上で、青色申告がおすすめな理由、さらに扶養内で稼ぎたい主婦ライターにも青色申告がおすすめな理由を解説していきます。
難しいイメージがある確定申告ですが、できるだけわかりやすく。
15年間、ライターとして確定申告をしてきた私の実体験も交えながら説明していきます。
ライターが確定申告する本当の目的
それは唯一にして最大とも言えるもの…
「還付金」という名目のもと「源泉徴収税」を取り戻せる!
この一点です。
ライターとして原稿を書いて納品し、その報酬を受け取ると、総額から「源泉徴収税」というものが引かれていることに気付くはずです。
源泉徴収税とは、簡単にいうと所得税のこと。
国税庁HPには源泉徴収について、以下のように記載されています。
作家に原稿料を支払うときや大学教授などに講演料を支払うときは、報酬・料金等として所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。
No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき(国税庁HP)
要するに、所得税の先払いが、自動的に行われているのです。
「だったら確定申告しなくていいんじゃない?」
そう思われるかもしれませんが、そもそもライターが確定申告をするのは税金を納めるためではありません。
最大の目的は、払いすぎた税金を「還付金」として取り戻すためなのです!
「払いすぎってどういうこと?」
と思ったあなたに、お伝えしたいのがこの事実…
税金の算出に使われるのは「課税所得」の年間総額
そしてこの「課税所得」、取引先からいただく報酬(収入)の合計ではないのです。
収入 - 必要経費 = 所得
所得 - 所得控除 = 課税所得
収入から必要経費を引いた金額が「所得」となり、この年間の合計所得からさらに該当する「所得控除」を引いた「課税所得」に基づき所得税額は計算されます。
源泉徴収税は必要経費や所得控除を考慮せず、「収入」に基づき計算されています。
ちなみに必要経費ですが、ライターであれば以下のようなものが想定されます。
加えて所得控除もさまざま。
12月が終わり、一年間の収入から一年間の必要経費と所得控除を引いたとき…。
人によっては “ 所得ゼロまたは赤字 = 所得税を支払う必要ナシ ” の可能性も考えられます。
そして払う必要のなかった税金を取り戻すには、確定申告しか方法はありません。
ところで源泉徴収税。
「いくら引かれているの?」というと、以下の式をもとに計算されています。
支払金額(=A) | 税額 |
100万円以下 | A×10.21% |
100万円超 | (A-100万円)×20.42%+102,100円 |
一回の報酬(支払金額)は100万円以下が大半と思うので、報酬が…
- 1万円 なら 1,021円
- 5万円 なら 5,105円
- 10万円 なら 10,210円
所得税(及び復興特別所得税)として、先払いしていることになります。
一方で所得税率は、年間の課税所得に応じて以下のように決められています。
課税される所得金額 | 税率 |
---|---|
1000円 から 195万円以下 | 5% |
195万円超 から 330万円以下 | 10% |
330万円超 から 695万円以下 | 20% |
695万円超 から 900万円以下 | 23% |
例えば収入からもろもろの必要経費や所得控除を引いて出てきた課税所得が195万円以下なら、税率は5%。
源泉徴収税は10.21%なので、このままでは税金を払い過ぎていることになります。
さらに課税所得が「ゼロ」であれば、そもそも払う必要は皆無!
いずれの場合も確定申告をすることで、差額または全額が還付金として戻ってきます。
「払い過ぎてますよ〜」とは誰も教えてくれません。。。
私はこれを「ライターのボーナス」と呼んでいます(笑)
ライターに青色申告がおすすめな理由
「確定申告はした方がいい」
これはわかってもらえたと思います。
では次に、
「なぜ青色申告がいいのか?」
を説明していきます。
青色申告は65万円の特別控除 = 還付金の額が増える
そもそもライターなどフリーランスの収入は「事業所得」に分類され、その確定申告は「白色申告」か「青色申告」で行います。
ここで、青色申告と白色申告の違いを見てみましょう。
青色申告と白色申告の違い
申告方法 | 特別控除 | 記帳方法 |
白色申告 | 0円 | ・簡易簿記による記帳 ・収支内訳書を作成 |
青色申告 | 10万円 | ・簡易簿記による記帳 ・損益計算書を作成 ※現金主義を選択可 |
青色申告 | 55万円 ↓ 65万円 | ・複式簿記による記帳 ・損益計算書と貸借対照表を作成 + ・e-Taxによる電子申告、または 電子帳簿保存法承認申請 |
青色申告を選べば、最大で65万円の特別控除が受けられるように!
一方、白色申告も簡易簿記による記帳は必要なのに、特別控除はありません。
いずれにせよ、帳簿の記帳は必要なのです。
であれば最初から青色申告のやり方をマスターし、65万円という大きな額を収入からまるっと引いてしまうことが最善だと思いませんか?
結果として所得が減る
→ 節税になる
→ 還付金の増額に期待!
必要経費65万円分と考えるとかなりの金額なので、大きなメリットだと感じられるのではないでしょうか。
しかし…
青色申告=複雑で難しい
こう思っている人は少なくないと思います。
実際のところは?というと…
必要なのは「収入」と「必要経費」で、申告書作成が比較的カンタン
ライターに限って言えば、「そこまで難しくないのでは?」というのが、青色申告に対する私の印象。
なぜならライターにとっての基本的な記載項目は「収入」と「必要経費」くらいだからです。
そもそも仕入れがなく、外注もしていなければ、基本は収入と支出を入力していくだけ。
家計簿のようなものです。
とはいえ青色申告ならではの「複式簿記」にすることは必須。
複式簿記?なんだか難しそう…
私もフリーランスになりたての頃はなんの知識もなく、「きちんとできるかな?」と不安でした。
調べてみると青色申告には会計ソフトを使うのが一般的のようで、費用は年間1万円弱。
当時は高額な出費に抵抗があり、「青色申告、やっぱり無理かも…」と断念しかけました。
しかしある一冊の本と出合い、「これなら私にもできるかも?」と希望の光が。
しかもお値段、1980円。
おかげで独立1年目から自力で青色申告を完了。
以来15年間、この一冊のおかげで問題なく青色申告を続けられています。
本1冊で申告書類を作成できる
私が比較的カンタンに申告書類を作成できているのは、この本のおかげ!
青色申告に必要な知識を学べるのはもちろん、エクセルで操作できる申告ソフト(Windows用・要ダウンロード)が付属。
これ一冊で、青色申告のための書類と確定申告書をすべて作成できます。
本当に役立つ一冊。
しかもお値段 1980円(ココ大事)
毎年発行されていますが、実は私、独立後初の確定申告をした2007年に一冊、購入したのみ。
令和に入り、さすがに不便を感じた2021年。
最新刊を購入しましたが、これまで15年間、このたった一冊で、ハードルが高いと言われる青色申告を自力で乗り切ってきました。
現在はこの本と15年の経験のおかげで知識はかなり身に付きましたが、もともと文学部の心理学専攻で、簿記や経理の知識は皆無。
そんな私にもでき、費用対効果もこれ以上ないくらい抜群。
初めて青色申告をする方はもちろん、年間約1万円を支払い、会計ソフトを使って青色申告している方の乗り換え先としてもおすすめです。
なお青色申告を行いたい場合、以下の期日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署へ提出しなければなりません。
開業する際、「開業届」と同時に提出するのがおすすめです。
なお、私がご紹介した「フリーランスのための超簡単!青色申告」は、今年度または翌年度のいずれか1年分について、ソフトを無料ダウンロードできるようになっています。
今年度は青色申告できなくとも、来年度に備えて学んでおきたい人にもおすすめの一冊です。
主婦が気になる「扶養内」。ライターは「103万の壁」の対象外!
ここからは主婦必見!
よく言われる「103万の壁」についてです。
夫の扶養を外れる境界として有名ですが、この壁、実はパートやアルバイトなど、給与として支払いを受けているケースに限ったもの。ライター(フリーランス)の場合は「103万円」ではありません。
扶養から外れないための条件とは?※妻がライターの場合
そもそも扶養内であることのメリットは、扶養者である夫が「配偶者控除」という所得控除を受けられるようになり、節税になるから。
※控除額は扶養者(夫)の所得が900万円以下で70歳未満の場合38万円です(国税庁HPより)
この「配偶者控除」を受けるための条件が、扶養から外れないための条件になります。
4つ目の条件が少し複雑ですが、夫が会社員であれば該当しません。
上記から妻がライター(フリーランス)の場合、夫の扶養から外れないためには年間の合計所得が48万円以下であることが必要だとわかります。
★「課税所得」ではないため、所得控除を引く前の金額が48万円以下であることが条件です。
所得 = 収入 - 必要経費
このため実際は48万円以上の収入があっても問題ないのですが、単純計算で1か月に4万円以上の仕事を受注した場合、扶養を外れる = 配偶者控除を受けられない可能性が出てきてしまいます。
ここで活用したいのが、やっぱり青色申告!
主婦ライターにも青色申告をおすすめする理由
所得113万円まで扶養内で仕事ができる
青色申告をすれば、特別控除の65万円が適用になります。
結果、配偶者控除を受けるための壁である「年間の合計所得48万円」と合算し、「所得113万円」まで扶養内で仕事ができるようになります。
支払った源泉徴収税の全額を取り戻せる年間所得の上限が48万円→113万円に
課税される所得金額 | 税率 |
---|---|
1000円 から 195万円以下 | 5% |
195万円超 から 330万円以下 | 10% |
330万円超 から 695万円以下 | 20% |
695万円超 から 900万円以下 | 23% |
この表のとおり、課税所得が195万円以下なら、税率は5%。
扶養内の場合、源泉徴収税10.21%が払い過ぎというのは一目瞭然です。
それどころか青色申告の有無にかかわらず、実は扶養内である限り、
所得はゼロ = 源泉徴収税を支払う必要ナシ!
このカラクリには所得控除のひとつ、「基礎控除」の存在があります。
< 青色申告をしない場合 >
扶養内の条件:年間の合計所得 < 48万円
所得控除:基礎控除の48万円が適用
課税所得=48万円以下-48万円 < 0
< 青色申告をする場合 >
扶養内の条件:年間の合計所得 < 113万円
所得控除:基礎控除の48万円が適用
★青色申告:特別控除の65万円が適用
課税所得=113万円以下-48万円-65万円 < 0
というわけで、扶養内の条件を満たしていれば、確定申告をすることで納めた源泉徴収税の全額が戻ってくるのです。
しかも青色申告なら、源泉徴収税の全額が戻ってくる年間の合計所得が48万円以下→113万円以下にアップ。
節税の恩恵を受けながら、青色申告をしない場合より多く稼ぐことができます。
源泉徴収税って、侮れません。だって、
収入が100万円なら、約10万円!
この金額がまるっと戻ってくると思うと…決して小さいとは言えないですよね(まさにプチボーナス・笑)
所得が少なかった年は白色申告でもOK(ただし単年)
主婦として家事や子育てと両立しながら仕事をしていると、思うような収入を得られない年も出てきます。
私も妊娠中や自主育休から復帰後などは、一時的に収入が落ち込みました。
今年度は65万円の特別控除がなくても、扶養から外れないな
そんな年は白色申告で対応。次年度からまた青色申告を利用したことが何度かあります
比較的カンタンとはいえ、青色申告は白色申告と比べてやはり手間がかかりますので…。
青色申告のメリットを享受しつつ、年によっては白色申告も取り入れ、臨機応変に選択する。
カシコイやり方かなと思います。
まとめ
この記事では、確定申告にまつわる以下3点について解説しました。
- フリーランスのライターに確定申告(青色申告)をおすすめする理由
- 主婦が扶養内でライターの仕事をするための条件主婦
- ライターにとっても青色申告がおすすめな理由
すべては
「源泉徴収税」をより多く(できれば全額)取り戻すため!
ぜひこの一冊を活用して青色申告に取り組み、おトクに節税していただけたらなと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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